研究記録

レメゲトンとは? ソロモンの小さな鍵全体と第一書ゴエティアの関係

レメゲトンとは? ソロモンの小さな鍵全体と第一書ゴエティアの関係

調査概要

レメゲトンとは、『ソロモンの小さな鍵』として知られるソロモン系魔術書全体を指す呼び名で、ゴエティアはその第一書にあたる悪魔目録です。この記事では、レメゲトンとゴエティアを同じものとして混同しないために、五書構成、17世紀ごろの英語写本伝承、ソロモン王名義の権威づけを整理します。

レメゲトンとは、『ソロモンの小さな鍵』として知られるソロモン系魔術書全体を指す呼び名です。よく混同されますが、ゴエティアはレメゲトンそのものではなく、レメゲトンの第一書として知られる悪魔目録でございます。

つまり、レメゲトンは書物全体、ゴエティアはその中の第一書。ここを分けておくと、『ソロモンの小さな鍵』、ゴエティア、72柱の悪魔、印章、ソロモンの鍵との違いが一気に見えやすくなります。

この記事では、レメゲトンと『ソロモンの小さな鍵』の関係、五書構成、第一書ゴエティアの位置づけ、17世紀ごろの英語写本伝承、そしてソロモン王名義の権威づけを、初心者向けに整理いたします。

1. レメゲトンとは、『ソロモンの小さな鍵』として知られる書物全体

レメゲトンとは、一般に『ソロモンの小さな鍵』、英語では The Lesser Key of Solomon と呼ばれるソロモン系魔術書の呼び名です。17世紀ごろの英語写本伝承で知られ、ソロモン王の名に権威を結びつけた魔術書群の一つとして扱われます。

ここで大切なのは、レメゲトンとゴエティアを完全に同じものとして扱わないことです。ゴエティアは、レメゲトンの第一書として知られる部分です。レメゲトン全体には、ゴエティアだけでなく、ほかの部も含まれると整理されます。

つまり、棚にたとえるなら、レメゲトンは一つの箱。
その箱の第一の区画が、ゴエティアでございます。

この区別を持つと、「レメゲトンとは何か」「ゴエティアとは何か」「ソロモンの小さな鍵とは何か」が混ざりにくくなります。

『ソロモンの小さな鍵』という名前から全体像を整理したい方は、ソロモンの小さな鍵とは? ゴエティアを第一書に含む書物全体をやさしく解説 へ進むと、同じ書物を日本語名側から確認できます。

2. ゴエティアはレメゲトンの第一書

ゴエティアは、レメゲトンの中でもっとも有名な部分です。72柱の悪魔を、名前、位階、性質、印章などとともに整理した悪魔目録として知られています。

そのため、現代では「レメゲトン」と聞くと、すぐにゴエティアや72柱の悪魔を思い浮かべる方も多いでしょう。それは自然な入口です。けれど、厳密には、ゴエティアはレメゲトン全体ではなく、第一書として知られる一部でございます。

ここを混同すると、次のような誤解が起きやすくなります。

  • レメゲトン = ゴエティアだけだと思ってしまう
  • ゴエティア = 『ソロモンの小さな鍵』全体だと思ってしまう
  • 72柱の悪魔目録だけがレメゲトンの内容だと思ってしまう
  • ソロモンの鍵とソロモンの小さな鍵の違いまで混ざってしまう

第一書ゴエティアを詳しく知りたい方は、ゴエティアとは何の本か? 72柱の悪魔目録とレメゲトン第一書の関係 で、悪魔目録としての位置づけを整理しています。

3. レメゲトンの五書構成とは何か

レメゲトンは、複数の部から成る書物として知られています。一般に、次の五つの部に分けて説明されることが多いです。

  • 第一書:ゴエティア
  • 第二書:テウルギア・ゴエティア
  • 第三書:アルス・パウリナ
  • 第四書:アルス・アルマデル
  • 第五書:アルス・ノトリア

この五書構成を知っておくと、レメゲトンが単なる悪魔一覧ではないことが分かります。第一書ゴエティアが悪魔目録として有名になったため、レメゲトン全体まで悪魔召喚の本のように見られがちですが、全体としては、霊的存在、天使的存在、祈り、図像、儀式的な知識が複数の部に分けて整理されたソロモン系魔術書として扱われます。

ただし、これらを読むときも、実践の手引きとしてではなく、近世ヨーロッパの魔術書文化において、見えない存在や儀式的知識がどのように分類され、書物へ収められたのかを見る資料として読むのが安全ですわ。

72柱の悪魔そのものを確認したい方は、ゴエティアの72柱とは? 読み方・意味・有名な悪魔をやさしく解説 へ進むと、第一書ゴエティアの中で有名になった悪魔目録を見やすくなります。

4. なぜソロモン王の名で語られたのか

レメゲトンは、ソロモン王の名と結びつけられて語られます。ここでいうソロモン王とは、旧約聖書に登場する古代イスラエルの王で、知恵ある王として広く知られた人物です。

中世末から近世ヨーロッパの魔術書文化では、古代の権威ある人物の名を借りることで、書物に重みや正統性を与えることがありました。ソロモン王は、知恵、支配、霊的存在への命令といったイメージと結びつけられ、魔術書の名義として大きな力を持つ存在になっていきます。

もちろん、レメゲトンが本当に古代のソロモン王本人によって書かれた、という意味ではございません。むしろ、ソロモン王という名が、後世の魔術書にどのような権威を与えたのかを見ることが重要です。

つまり、「ソロモン王の書」として読むのではなく、「ソロモン王名義の権威をまとった近世の魔術書伝承」として読むと、位置づけが分かりやすくなります。

5. ソロモンの鍵・小さな鍵・ゴエティアの違い

レメゲトンを調べると、よく似た名前がいくつも出てまいります。

特に混同しやすいのが、次の三つです。

  • 『ソロモンの鍵』
  • 『ソロモンの小さな鍵』
  • ゴエティア

『ソロモンの鍵』は、一般に Key of Solomon、または Clavicula Salomonis と呼ばれるソロモン系魔術書伝承と関係します。儀式の準備、護符、祈り、道具、時間選びなどと結びついて語られる書物です。

一方、『ソロモンの小さな鍵』は、The Lesser Key of Solomon と呼ばれる別系統のソロモン系魔術書として知られます。レメゲトンは、この『ソロモンの小さな鍵』の呼び名として扱われます。

そしてゴエティアは、その『ソロモンの小さな鍵』、つまりレメゲトンの第一書として知られる部分です。

簡単に整理すると、次のようになります。

  • レメゲトン = 『ソロモンの小さな鍵』として知られる書物全体
  • ゴエティア = レメゲトンの第一書
  • 『ソロモンの鍵』 = 『ソロモンの小さな鍵』とは別に扱われるソロモン系魔術書伝承

『ソロモンの鍵』と『ソロモンの小さな鍵』の違いが気になる方は、ソロモンの鍵とソロモンの小さな鍵の違いを初心者向けに解説 で比較できます。

また、ゴエティアとソロモンの鍵を混同している場合は、ゴエティアとソロモンの鍵の違いとは? 大きな鍵・小さな鍵・レメゲトンの関係 が役立ちます。

6. 72柱や印章を知りたい場合の読み進め方

レメゲトンを知ったあと、多くの方が気になるのは、やはりゴエティアの72柱や印章でしょう。

第一書ゴエティアでは、72柱の悪魔が、名前、位階、性質、印章などと結びつけて整理されます。王、公爵、侯爵、伯爵といった位階の表現や、個々の悪魔に対応する印章は、ゴエティアを視覚的にも印象的なものにしています。

ただし、R-0022では、72柱や印章を詳しく解説しすぎないようにいたします。ここでの主役は、レメゲトンという書物全体と、第一書ゴエティアの位置づけです。

72柱そのものを知りたい方は、ゴエティア側の記事へ進むのが自然です。印章やシジルの見方を知りたい方は、ゴエティアの印章とは? シジルと悪魔の紋章が有名な理由を解説 で、図像としての理解を補えます。

レメゲトンは、ゴエティアだけではありません。
けれど、ゴエティアを抜きにしてレメゲトンを理解するのも難しい。

そのため、まずは「全体と第一書」を分け、次に72柱や印章へ進む。
この順番で読むと、混乱が少なくなりますわ。

7. レメゲトンを理解するための現実資料

レメゲトンを理解するときは、ゴエティアだけを見るより、ソロモン系魔術書の流れ、悪魔学の見取り図、魔導書史の中での位置づけを分けて見ると整理しやすくなります。

ソロモン系の補助としては、魔導書ソロモン王の鍵(二見書房)──ソロモン系魔術を日本語でたどるための補助資料 が足場になります。『ソロモンの鍵』や『ソロモンの小さな鍵』の周辺を、日本語で追いたいときに向いています。

悪魔学全体の見取り図を先につかみたい方には、図解 悪魔学 (F-Files No.027)とは? 悪魔学の全体像をつかむための入門資料 が役立ちます。ゴエティアや72柱を、個別名だけでなく悪魔学の中で整理する補助になります。

写本や図版、魔導書史の流れから見たい方には、ビジュアル図鑑 魔導書の歴史とは? 図版でたどる魔導書史の入門資料 が向いています。レメゲトンを、孤立した悪魔の本ではなく、魔導書史の一部として眺めるための補助線になります。

レメゲトンは、『ソロモンの小さな鍵』として知られる書物全体。
ゴエティアは、その第一書として知られる悪魔目録。

この二つを分けて覚えておくと、ソロモン系魔術書の棚はずっと見通しやすくなります。焦らず、まずは箱と第一の区画を分けるところから始めてくださいませ。

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